それだけに、製造工程の衛生管理は徹底されてきたという。『超熟』を含むパスコ製品を製造する別の工場で勤務する社員が言う。
「工場内の生産現場に入る際は手指の洗浄消毒をした後、頭からつま先まで白い作業服で覆います。その状態でエアシャワーを浴びるので、工場内はクリーンルーム並み。なぜ混入したのか……」
食品問題に詳しい垣田達哉氏(消費者問題研究所代表)はこう言う。
「製造に用いる器具などの小さな欠片や原材料についていた小さな虫などが落としきれずに残るケースならわかりますが、体長20cmにもなるネズミの一部がパンに混入する例は聞いたことがない。異例中の異例です」
ゴミの山の管理状況は
ネズミ混入という事態はなぜ起きたのか。問題の起きた「パスコ東京多摩工場」を訪れたのが冒頭の場面だ。
夕方、退勤した従業員に話を聞くと、「異物混入が起きた製造ライン以外は動いている」と明かした。前出・垣田氏はこう懸念する。
「経年劣化などで工場の設備内に隙間や穴ができてネズミが侵入した可能性があるなか、原因究明中に別のラインを動かす判断には疑問が残ります」
現地を取材すると、工場の裏手にはゴミ置き場があり、産廃コンテナからはみ出すほどゴミ袋が積まれている様子が柵越しに見えた。
こうしたゴミの山がネズミ混入を招いたのではないか──同社に問うと、「鉄くず類のような無機物は屋外コンテナに保管、食物性残渣や原料の入っていた袋などの可燃物については扉付きの建物にて保管しています。今回の混入との因果関係は低いと考えております」(総務部広報室)という。