“親孝行”のつもりでやったことが不幸を招く一方、“親不孝”に見えるやり方でうまくいくケースが多く見られるという。
「親の老いた姿を見ると感情をかき乱され様々なトラブルが生じますが、親不孝介護なら親の老いを直視しないで済みます。重要なのは、親が要介護状態になっても親子関係が良好であり続けること。
その観点で言えば、子が介入するほど家族の仲は壊れやすくなります。下手に干渉しないほうが親には自主的に病院を受診するなどの意識が生まれるし、必要な介護を見極められるようにもなる。“自分は親不孝で申し訳ない”と思うくらいの状態のほうが、結果的に望ましい介護体制になっている例がたくさんあります」(川内氏)
相談は「できるだけ早く」
干渉しないことで、親も子も幸せになる──そんな親不孝介護を成功させるには、「できるだけ早く公的機関を活用すること」がポイントだ。
まず重要になるのが前述した「包括」への相談である。包括は自治体が設置する公的機関で、介護や医療のサービスが必要かどうかなど地域の高齢者の生活上の問題について、総合的に相談を受け付ける窓口になる。
「できるだけ早く包括などの支援に頼ることが、利用者にとっても行政にとっても望ましいことになる。要介護認定に至らない程度の認知症の初期段階でも、包括による自立支援のサポートを使えます。“まだ介護が必要ではないのに相談したら迷惑ではないか”と考える人が多いですが、包括は早めの相談を歓迎します。親が元気なうちから気楽に相談してアドバイスをもらい、包括とのつながりを作っておくことが大切です」(川内氏)
包括に相談するタイミングを判断するうえでのチェックポイントは掲載のリストにまとめたので参考にしてほしい。
※週刊ポスト2024年5月31日号