忘れず利用したい高額療養費制度
医療費がお得になる制度はまだある。
「認知症治療薬は薬価が年間数百万円と保険が適用されても支払う金額は安くない。その際に併せて利用したいのが、1か月でかかった医療費が自己負担限度額を超えた場合に差額が払い戻される高額療養費制度です。例えば100万円の医療費がかかった場合、いったんは3割負担の30万円を払い、後日健康保険に高額療養費を請求することで自己負担(70才未満で年収500万円の場合、約9万円)との差額が還付されます。
年間医療費が10万円を超えた場合には確定申告で医療費控除の申請をすると節税になります。通院に使った交通費なども合算できるので、大きな手術や治療を受ける場合には領収書を保管しておきましょう」(横川さん・以下同)
控除の対象になるのは、医療費だけではない。
「薬局で買った薬の合計が年間で1万2000円を超えれば医療費控除の特例として税金が還付されるセルフメディケーション税制があります。あまり病院には行かないけれども、定期的に服薬している薬がある人は計算してみてください。
加入している健康保険によっては付加給付という制度があります。これは大企業の健康保険組合や公務員など、高額療養費による払い戻し(高額療養費制度)に上乗せしてさらに付加給付を行う仕組みです。ある大手メーカーは自己負担限度額を2万円に設定していて、医療費がたとえ100万円かかっても支払う額は2万円だけでいいというすごい制度です」
健康保険料の支払いでは、妊産婦について制度が手厚くなっていると言うのは丸山さんだ。
「今年1月から、国民健康保険料の産前産後免除制度がスタートしました。加入している妊産婦の産前産後4か月(多胎児は6か月)分の保険料が免除になる。原則として届け出が必要なので、知らなければみすみす損してしまうことになります」
知らぬが仏とはよく聞く言葉だが、医療費に限っては“知らぬは地獄”。知っている人しか得できない。
※女性セブン2024年5月30日号