芸能人・著名人の相続・終活
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大村崑・92歳、自ら入居した老人ホームで実践する「子に頼らない、頼られない」暮らし ホームではみんなの「崑ちゃん」であり続ける日々

国鉄の特急「つばめ」の車内から電話する大村崑さん(1960年撮影)

国鉄の特急「つばめ」の車内から電話する大村崑さん(1960年撮影)

他人さんが面倒見てくれる

 子供に相談? いやいや、僕は昭和6年生まれの昔人間だけど、親は親、子供は子供という考えです。だから、老人夫婦だけの暮らしが不用心だからといっても、僕たちは子供を当てにしない。2人の子供には「迷惑はかけないし、面倒を見る必要もない。その代わりに親の財産を当てにしないでほしい」と話しているんです。

 もちろん、施設の入居には費用がかかるし、今後もお金が必要になります。そこは「親は親の金で他人さんが面倒を見てくれる。お前さんたちも親のためにお金を使うこともない」と話していて、子供たちにも納得してもらっています。

 何より子供たちのほうも、警備体制や医療機器も整っている施設なので、僕たち以上に安心しているんじゃないかな。それが一番ですね。

 老人ホームと言うと暗いイメージかもしれませんが、僕たちが引っ越したのは明るく元気な人が集まっているところ。10階建ての棟が3つあって、230人も入居者がいますが、みんな元気ですよ。建物の中を歩いていると、「崑ちゃん、崑ちゃん」って声をかけられる。だから背筋を伸ばして、ちゃんと「崑ちゃん」をやらないといけない。ちょっとくたびれて大変な時もあるけど、元気でいないと、という気持ちにもなりますね。

 スタッフの人も、92歳の僕を「人生の大先輩」と大事にしてくれる。ただ、僕が最年長かと思ったら、94歳のご婦人がいました。そういう方がいると、僕も負けずに長生きしようという気持ちになりますね。

 施設で暮らすと、子供だからといって必ずしも親の面倒を見る必要なんてないと改めて思うよ。子供には子供の生活があるんですから。

※週刊ポスト2024年5月31日号

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