中食は郷土料理の伝承にも貢献
ちなみに近年は、意外な面でも中食が貢献しているという。それは、郷土料理の保存と普及だ。
「郷土料理のレシピを受け継ぐ人が減り、作り方がわからない、そもそも食べたことがないという人が増えている中、地元に根差したスーパーなどでは郷土料理を中食として販売。これが話題となり、定番総菜となっています」
北海道稚内市のチャーメン(炒めた中華麺の上に野菜や魚介などの具材を入れたあんをかけたもの)、青森県弘前市のイカメンチ(イカを刺し身にしたときに残るゲソをミンチにし、玉ねぎやにんじんといった野菜とともに小麦粉でまとめて揚げたもの)、岐阜県高山市のあげづけ(しょうゆだれを染み込ませた味つきの油揚げ)などがその代表例だ。
家庭料理から高級料理、そして郷土料理まで、消費者のニーズに合わせて、中食のメニューはどんどん多様化しているのだ。
「最近では、冷凍のワンプレート料理が中食業界で注目されつつあります。冷凍なら塩や砂糖、添加物などを使わなくても長期保存ができるため、健康志向の人にも人気が高く、ご飯とおかずがセットになっているためリーズナブルです」
進化を続ける中食。活用しない手はない。
【プロフィール】
丸山晴美さん/節約アドバイザー。ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー 。調理師などの資格も生かし、食費や通信費などの節約術を提案。主な監修本に『steady.特別編集 知識ゼロでもまるっとわかる お金の基本』(宝島社)など。著書も多数。
取材・文/前川亜紀
※女性セブン2024年5月30日号