「待遇が入社前に聞いていた話と違った」「配属された部署がハズレだった」などを理由に、早期に退職を決意する新入社員が増えている。5月の連休明けには新卒者からの「退職代行サービス」への問い合わせが急増したことが報じられるなど、特に今年はその傾向が顕著なようだ。
東京商工会議所が行った「2024年度新入社員意識調査」(4月22日発表)によると、「就職先の会社にいつまで働きたいか」の設問に「定年まで」と答えたのは21.1%と10年前(2014年調査)に比べて14ポイント減少。一方、「チャンスがあれば転職したい」と答えたのは26.4%となり、10年前に比べて14.5ポイント増加していた。新しい職場に来てすぐに「退職を決意した」「検討している」という20代の男女2人に、フリーライターの吉田みく氏が話を聞いた。
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上司のパワハラや待遇面への不満など退職する人の理由は様々だが、なかには、新卒で配属された部署について早々に「配属ガチャにハズレた」と感じ、退職を決意する人もいる。埼玉県在住の人材派遣会社勤務、フミヤさん(仮名、男性22歳)はこう言う。
「就職活動を頑張って憧れの会社に入社しましたが、研修が終わって配属された部署の仕事のやり方や先輩たちの雰囲気についていくことができません。正直、非効率的なことが多くて……。それに、私の希望であった内勤業務ではなく営業に配属されたのも不満があります」
フミヤさんは「休日返上で仕事している」と自慢をする上司を見て、「尊敬できない」と話していた。数をこなすことで売上を立てる部署の方針にもパフォーマンスの悪さを感じてしまい、気力が湧かないそうだ。
「ネットの口コミを見ると、我が社は3年未満の離職率が高いと書かれていました。あまり鵜呑みにしないほうが良いと思って気にしないようにしていたのですが、目の当たりにするとあながち間違いではなかったと思いました。もう少し我慢して勤めることも考えましたが、長居しても得られることが少なそうなので、退職することを決意したんです」(同前)