歴史的な円安もあって、多くの外国人観光客が日本に押し寄せている。インバウンド消費に期待が高まる一方で、接客業の従業員たちが悩まされているのが外国語での対応だ。英語はまだしも、頑なに母国語でしか話さない外国人観光客も少なくないという。現場で何が起きているのか、飲食店などサービス業に携わる人たちに話を聞いた。
英語が通じないと「用なし」といわんばかりの振る舞いも
ダイニングバーで働く20代女性・Aさんは外国人観光客の接客に苦手意識があり、「最近精神的な疲労度がエグい」と嘆息する。
「最初から最後まで英語しか話さない外国人のお客さんは結構います。一応英語メニューがあるので注文はどうにかなるのですが、メニューの詳細や要望について質問されることがあると、うまく聞き取れなかったり、日本語と片言英語の対応で十分な接客ができず、いつも自分の英語力不足を痛感します」
だが、最近では少しずつ「自分だけが悪いわけではない」とも思うようになったという。きっかけは、英語しか話さない態度の外国人からの「手痛い仕打ち」だった。
「世界の公用語だからか、英語が通じることを当たり前だと思っている節があるように思います。
接客中なので翻訳アプリをいちいち使うわけにもいかず、うまく対応できなかったときに、手のひらを挙げてため息をつかれたり、『用なし』と言わんばかりに手をひらひら振って軽くあしらわれたりしましたことは一度や二度ではありません。ちなみにそういう横柄な態度を取る人はこちらが注意できないのをわかっているせいか、行動も大胆なことが多く、テーブルは汚しまくりだし、声も大きかったりすることが多いです。
もちろん英語を中高6年間習っておきながら話せないのは私の不勉強ですが、“ここは日本なんだから日本の言葉で日本流のマナーを守って過ごして!”と叫びたいです」(Aさん)