大相撲の幕内の取組では、勝ち力士に土俵上で与えられる懸賞金がある。取組前には、懸賞旗を持った呼び出しが土俵をぐるぐると回る様子を見たことがあるだろう。実に様々な企業が懸賞を出していることがわかるが、なかでも関係者の間で獲得するのが“名誉”とされる企業の懸賞があるという。それが後述する「森永賞」だ。
呼び出しが持つ懸賞旗が土俵を回り、場内放送で企業名などが読み上げられる広告の対価として、企業側からは1本7万円が支払われる。7万円のうち1万円は協会の手数料(取組表掲載料・場内放送料)として差し引かれ、力士の手取りは6万円。このうち3万円は力士の税金(所得税)準備のため積立金として協会預かりとなり、懸賞金の祝儀袋の中には3万円が入っている。
今年の5月場所は12社の新規申し込みによって懸賞の総本数が2254本となった。昨年の同場所の1850本を大きく上回っている。
「力士指定本数は貴景勝、琴櫻、御嶽海の順に多く、指定がないものは横綱・大関戦を中心に協会が配分していく」(ある呼び出し)
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