「感謝の気持ち」の表現なのか
ラーメン好きの圧力を感じる人もいるようだ。不動産会社勤務の30代・Bさんは、ラーメン屋で職場の同僚がスープまで完飲している姿を見て、驚いたという。
「同僚は最後に何のためらいもなく、スープを一気に飲み干したので、思わず二度見してしまいました。僕は親から『ラーメンのスープ=体に悪い』と言われて育ったので、そもそも飲むという発想がありませんでした。しかも温かいうどんやそばだって、別につゆは全部飲まないじゃないですか。
その後、同僚に『よく飲めるよね』と話を振ってみたら、彼は『感謝の気持ちであり、マナーかな』と言っていました。あと、『本当においしければ、スープまで全部飲みたくなる』と。たしかにうどんやそばのつゆに比べて手間もコストもかかっているんだろうなとは思いますが、僕は飲めそうにありません」
帰り際になぜか「すみません」
飲みきれないと周囲の目が気になる人もいる。商社勤務の30代女性・Cさんは、「ラーメンは完食しなければないプレッシャーが強い」という。
「昔、当時の交際相手から『スープを飲まない=作った人に対するリスペクトが足りない』と諭されました。他の食べ物を残しても何も言わないのに、ラーメンだけはうるさくて……。基本的に出されたものは残さず食べるのがいいとは思いますが、ラーメンの主役は麺だと思っているので、スープは2口ぐらいしか飲みません。
ただ、申し訳無さはあるので、なんとなく器を下げてもらったり、会計をする時なんかに、『全部飲めなくてすみません』的に謝ってしまいます。スープを飲み切れない人はラーメン店に行かないほうがいいのか、時々悩みますね」
スープには多くの手間とコストがかかっていることを知りつつも、「飲み干すかどうか」は悩ましい問題のようだ。(了)