投資には守備的な側面もある
そもそも、投資をしないまでも、ある程度の知識を持つことは、自分の資産を守ることにつながる。なぜなら、無自覚なまま詐欺の被害に遭う可能性もあるからだ。
実際、ジャーナリストの池上彰氏など、著名人をかたった投資詐欺で数千万~数億円をだまし取られる人が急増中だ。
「登録等を受けた金融機関以外とは取引をしないと決めることで、詐欺の多くを防ぐことができます。2011年の安愚楽(あぐら)牧場の事件をはじめ、とても慎重な人でも、『信頼できる口コミだから』とだまされてしまうことがありますが、『金融機関が介在していないものはおかしい』と疑えたら、だまされる確率を格段に減らせます。何といっても、投資はアップダウンするものなので、『絶対に儲かるはず』は、ありえません」(風呂内さん)
“しない人”は、投資はリスクを冒して増やすものと思いがちだが、「守備的なものでもある」と、坂本さんは言う。
「投資=大儲けするものではなく、実は、いまあるお金を『守る』という側面もあるんです。たとえば、物価が2%上がったら、自分のお金を2%増やしておかなければ減るばかりですよね。昔からそうですが、国の目標は2%のインフレ【*注】なんです。
【*注/2013年、日本銀行が「デフレからの脱却」を掲げて物価安定目標を2%に定めた。この程度の物価上昇が、景気が順調で企業や賃金も上がり、物価が安定する経済状態だとしている。欧米諸国も同率の目標値を掲げており、足並みをそろえるためともいわれている】
だから、減らないように2%程度のリターンを目指す。これが投資の基本。増やすのは、その次の段階です。
『損をしたくない』と考える人は、お金を絶対的なものと思いがち。でも、お金って、本来は相対的なもの。インフレになったら価値が目減りし、デフレで増える。価値は状況によって変わるものだから、銀行にある限りは安心、というわけではないんです」(坂本さん・以下同)