広い戸建から小さなマンションに転居して夫婦に亀裂も
ゴミ出しなどのルールが変わることも、日常生活の変化がもたらす苦痛となる場合がある。
「24時間ゴミ出し可能の分譲マンションから転居した人は、地域で決められた分別法やゴミ出しの曜日・時間帯に慣れるのに苦労することがあります。ゴミの捨て方に近隣住民から文句を言われ、その後、人の目が気になり、ゴミを自宅に溜め込んでしまった結果、自宅がゴミ屋敷のようになった人もいます」(太田氏)
反対に、転居先の住人のマナーに辟易する人も。子供の独立後に横浜市内の分譲マンションを手放し、千葉県郊外の中古マンションを購入した60代男性だ。
「転居したマンションはゴミ出しルールが徹底されておらず、収集日以外にも生ゴミを捨てる人が多い。私の部屋は1階で、目の前が集積場のため、夏場は腐敗臭がひどく窓を開けることができません。横浜に住んでいたころは考えられない光景です」
不動産会社経営の人気YouTuber「不動産Gメン滝島」こと滝島一統氏はこう助言する。
「転居先を探す際にゴミ捨て場のチェックは必須です。ここがきちんと片付いているかどうかは、住民のモラルの尺度にもなります。ほかにも共用部の照明が切れていたり、『エレベーターはきれいに使いましょう』などの張り紙がある場合などは、要注意物件と考えるべきです。こうした点を知らず移住したケースでは、カルチャーショックを受ける人がいます」
中高年になってからの住環境の変化は、夫婦の関係にも大きく影響する。
「広い戸建から小さなマンションに転居し、夫婦の危機を迎えるケースが増えています。狭い室内で2人で過ごす時間が増えることで喧嘩が絶えなくなり、妻が『夫がいるから友達が呼べなくなった』と嘆くケースも。お互いの距離感が保てず、熟年離婚に至る可能性があるのです」(太田氏)
※週刊ポスト2024年6月21日号