住まい・不動産

郊外の自宅を売って駅近マンションを購入した60代夫婦の大誤算

築40年の一戸建てを売却した夫婦の誤算とは?(イラスト:斉藤ヨーコ)

築40年の一戸建てを売却した夫婦の誤算とは?(イラスト:斉藤ヨーコ)

 子供たちが巣立ったいま、かつては「夢のマイホーム」だったわが家は、年老いた身で生活するには、古くて、不便で、もの寂しい──老後資金や生前整理の不安も重なって「家を売ったお金で小さな家に移り住み、新しい暮らしを始めよう」と考える人は多いが、決断を急いではいけない。住み慣れた家を売ったところで、お金も、安全も、やすらぎも、手に入るかどうかはわからないからだ。人生最期の瞬間に後悔しないために、わが家で何ができるか、もう一度見直してほしい。

 東京郊外に住むA子さん(62才)は、定年退職したばかりの夫(65才)と「家を売るかどうか」を検討中。

「いま住んでいるのは、25年前、上の子が小学校に上がるのを機に買った4LDKの中古一戸建てです。築40年ともなるとあちこち傷みが出てきていて…。リフォームするとかなり大規模になって、お金もかかりそう。子供たちが独立したので、こんなに広い家は必要ありません。夫も“引っ越すなら元気ないまのうちかも”と前向きです」

 A子さんの希望は、もっと駅近のマンションだ。

「これから年をとっていくことを考えると、駅まで遠いいまの家より、もっと買い物とか病院に行くのが便利なところがいいと思って。夫婦2人だから2LDKもあれば充分。一戸建てを売ったお金より1000万円くらい安く買えれば、その分、老後資金に余裕ができる。一石二鳥ですよね。夫と2人で海外旅行でも楽しんでこようかな」

 A子さん夫婦の現在の預貯金は、夫の退職金も合わせておよそ2000万円。マンションに引っ越せばそれが3000万円に増え、生活も便利になる──A子さんはそんな期待に胸を膨らませている。

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