角界には「土俵には金が埋まっている」という格言がある。稽古に励んで出世すれば、大きな額の報酬を手にできるという意味だ。その好例が、先の5月場所で初土俵から7場所目という史上最速Vを成し遂げた怪物・大の里(24)だろう。“報酬アップ”のスピードにも、尋常ならざるものがある。
大相撲の世界で「月給」を手にするにはまず、十両以上の関取にならなければならない。関取になると、生活は一変。大部屋生活だったのが個室を与えられ、身の回りの世話をする付け人もつくようになる。角界で昔から「番付が1枚違えば家来同然、一段違えば虫けら同然」との言い回しがあるゆえんだ。
そもそも、関取への道のりは遠く険しい。力士の数は600人弱だが、月給を手にできる関取はそのうち70人(十両28人、幕内42人)のみ。全体の1割強に過ぎない。
幕下以下の力士には、2か月に一度の本場所ごとに、以下の額の場所手当が支払われる。
・幕下:16.5万円
・三段目:11万円
・序二段:8.8万円
・序ノ口:7.7万円
支給は年6回だ。これが毎月の給料を受け取れる十両になると待遇は大きく向上する。
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