そうした環境下で発売を迎えた『未来のレモンサワー』は、味や趣向だけでなく、販売戦略としても“未来”を描いているといえそうだ。開発の背景には、アサヒビールが2021年4月に発売した『アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶』があった。同社マーケティング本部新ブランド開発部担当課長の山田佑氏が語る。
「『生ジョッキ缶』発売の少し前に、開発の様子を間近で見ていた缶チューハイ分野の開発研究者が“同様のコンセプトでレモンサワーを作れないだろうか”と思いついたのが発端です」
『生ジョッキ缶』の特徴は全開になるフルオープン缶だ。グラスに注がなくとも泡立ちを楽しめ、飲み口部分で手や口を切る恐れがない。この「ダブルセーフティー構造」の技術を応用したいと考えたのだ。
櫛切りかスライスか
商品開発プロジェクトは2021年に始動した。
「居酒屋のサワーのように果物を入れたら面白いというアイデアのもと、定番のレモンの採用を決定した。過去につぶつぶの果肉入り飲料を作ったことはあったものの、大きなサイズの果実を入れるのは未知の領域。量産する製造設備もなく、ゼロからの開発でした」(同前)