外出を控えなければならなかったコロナ禍の影響で“宅飲み”の習慣が定着した昨今、大手飲料メーカー各社で開発に力を入れているのが、「缶チューハイ」だ。
「コロナ禍前後の2019~2021年は特に、スッキリして女性でも飲みやすいことからレモンサワーがブームとなり、『こだわり酒場のレモンサワー』(サントリー)などが大ヒットしました。
そうして多くの人がレモンサワーを飲むようになると、今度は甘みがなく、どんな料理にも合うチューハイが、宅飲み派やビール党を中心に求められるようになり、“無糖”のレモンサワーなどが登場。その後、続々と無糖チューハイが誕生し、新たなブームとなっています」
とは、缶チューハイ研究家のストロングおじさんだ。無糖チューハイは、糖類や甘味料を使わず、スッキリした後味を極めた酒。では、その無糖チューハイにはどのようなものがあるのか。
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無糖の立役者は「氷結 無糖」シリーズ
今年2月、キリンホールディングス、サントリーホールディングス、アサヒグループホールディングスの2023年決算が、いずれも過去最高の売り上げを記録したとそれぞれ発表。この背景には、酒税の値上げや海外での好調な売り上げ、コロナ禍が明けて外食する人が戻ってきたことなどがあげられるが、宅飲みの定着で缶チューハイ類の売り上げが微増したことも一因にあると考えられる。そんなチューハイの代表格が、前述の無糖チューハイだ。
「無糖チューハイブームの立役者が、2020年に発売された『氷結 無糖』シリーズ(キリンビール)です。2001年に誕生した『氷結』シリーズは、果実の瑞々しさを出すためストレート果汁を使い、焼酎ではなくウオッカで割った当時斬新なお酒でした。その飲みやすさから、お酒がそれほど得意ではない女性を中心に人気を博してきました。
そのブランドが新たに無糖を開発。それまでも、ハイボールなど無糖のお酒はあったものの、興味を示さなかった人たちが、往年の人気ブランドから出たということで手に取ったのでしょう。これがきっかけでブームに火がついたと考えられます」(ストロングおじさん・以下同)
以降、各社が競って無糖を開発。加えて『タカラ「焼酎ハイボール」』(宝酒造)のような、もともとあった無糖のチューハイも注目されるようになったという。