ただし、そもそも話すことがない、会話が続かないという人も少なくない。小谷氏は「夫婦で街に出ましょう」とアドバイスする。
「仕事人間だった人に多いのが、『女子供の話はつまらない』と思っているパターンです。そういう人は大体、家事や身の回りのことを妻に任せっきりにしています。
女性がよく喋るのは『情報交換』をしているからでもあり、それはスーパーの安い食材や美味しいカフェを見つけたといった生活情報を共有していることが多い。話すことがないという人は自分の話題が乏しいと考え、夫婦で街に出て、まずは妻を通じて社会のいろんなことに関心を持ち、いずれ自立できるようになりましょう」
前出のAさんのように、地域や近所のつきあいが救いとなる人もいる。
「重要なのは『共通の趣味や価値観を持つ人を見つける』こと。趣味のつながりは長く続きやすいです」(小谷氏)
人づきあいが得意ではない人は無理をしない
一方、「人づきあいを無理しない」という考え方もある。2014年に乳がんで妻の初美さんを亡くしたタレントのダンカンさん(65)が語る。
「妻は“相撲部屋の女将”のような存在で、僕が芸人仲間を自宅に連れていくと食事の席を仕切ってくれるなど人づきあいが上手でした。
彼女が亡くなったいま、僕だけで以前のような人間関係を維持するのは難しい。無理して新たな交友関係を構築することもないかなと。『本当に大切な人とのつきあい以外は不要』と割り切るようになりました」
高齢者の終活支援を行なう一般社団法人LMNの遠藤英樹代表理事もこう話す。
「人づきあいが得意ではない人は無理をしない。行きつけの居酒屋やカフェが1軒でもあって会話ができればそれでいい。配偶者を失う喪失感は思っているより大きく、ひとりで悲しむ時間も大切です。その後、前向きになってから新たな人間関係を築くのでもいい」
自分のペースでひとりに備えることが大切だ。
【告知】
7月26日(金)「嘉門タツオ“お世話になりました! umeda TRAD!!”」
会場:大阪・umedaTRAD(大阪府大阪市北区堂山町16-3)
時間:開場 18:00/開演 18:30
8月11日(日)「嘉門タツオライブ in NAGOYA~初!クローバーハウス~」
会場:名古屋・CLOVER House(愛知県名古屋市中区新栄1-10-26)
時間:開場 15:30/開演 16:00
※週刊ポスト2024年7月12日号