子供の「意思」がどちらにあるのか
なぜ、受験勉強に専念させることが「中学受験の最大のデメリット」と言えるのか。それは、受験勉強に打ち込む「年齢」が関係しているという。
「9歳から12歳の期間は、スポーツや習い事を通じて、才能や興味を伸ばすための『ゴールデンエイジ』と呼ばれています。スポーツは私たちが生きていくうえで必要な体力や精神力を養いますし、小学校の頃にプログラミングや英会話などを頑張って学んできた子は、中学以降もそこで獲得した専門性を活かした進路に進むことが多いのです。それぞれのご家庭やご本人の価値観の問題で、私が口を差し挟むことではありませんが、中断するのは少々もったいないように思います。
スポーツや習い事に未練がなく、本人が『中学受験に専念するためにやめる』という意思を示しているのなら、やめても何の問題もありません。しかし、最後までやり遂げたいという強い意思があるのなら、中学受験のほうをやめて、高校受験で改めて勝負するというのは、現実的な選択肢としてありだと思います。
夏休み前の今であれば、まだ間に合うのではないでしょうか。続けたかったのに、中学受験のために親に無理やりやめさせられたと子供が感じれば、将来の親子関係にもしこりとして残りかねません。親子関係を破壊してでも優先すべき受験などないのです」(東田氏)
判断が難しいのは、それほど積極的ではなく、惰性で続けているようにしか見えないケースだろう。もちろん、親からはそう見えたとしても、実は本人はやる気満々ということもありうるので、子供とよく話し合うのが大事なのではないか。
地域の公立高校が「中高一貫」化したら
何らかの理由で中学受験から撤退したとして、公立中から高校受験のコースに変えた場合、今度は、大学進学への進路が制限され、不利にならないかが心配のタネになる。
全国的に公立の進学校の中高一貫化が進んでいることも、親を不安にさせる要因の一つだ。たとえば、東京都内には都立・区立の中高一貫校が11校あり、以前は高校からの入学が可能な学校もあったが、今はすべて募集が停止され、中学からしか入れない完全中高一貫校になった。そのため、高校受験で入れる公立高校の選択肢が減っているように感じている親は多い。