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「子供にトラウマを残しそう…」悩ましい中学受験から“撤退”の決断 現役塾講師は期限を重視、撤退後の勉強への向き合い方

撤退を決断するのにも「期限」がある

「私のXのアカウントには、毎日のようにこうした相談が寄せられます。昔に比べて今の中学受験は過熱しすぎで、学習量も難易度も上がっているので、ついていけなくなる子も増えているという印象です。

 何を基準に撤退するかは難しいところですが、子供の様子をよく見ることが大事で、子供がポロポロ涙を流しながら、勉強がつらいと訴えてきたら、それはもう明らかに危険サインです。中学受験には、子供だけでなく親にも適性が必要で、成績が悪かったときに、子供を強い口調で叱ってしまうのを我慢できない人は、中学受験に向いていません。

 中学受験塾は4年生から入るのが一般的で、4年生の間はカリキュラムも緩くて、それほど負担にはなりませんが、5年生になると一気に厳しくなります。負荷が大きくなると、そこで初めて子や自分に適性があるかが見えてきます。子供も親としての自分も中学受験に向いてないとわかったら、それが撤退のタイミングと言えるでしょう」(東田氏、以下同)

 ただ、撤退を決断するのにも「期限」があるという。

「最後のタイミングは6年生の夏期講習前です。前回の記事(第4回)で、スポーツや習い事をしている子たちにとって6年生はゴールデンエイジだと述べましたが、まさに6年の夏休みは、ひたすらやりたいことに没頭して、非常に充実した時間を送れる時期です。夏期講習の前に撤退すれば、夏休みの時間を贅沢に使えるので、中断していたスポーツや習い事などの活動に復帰してもいいし、長期の旅行に出て子供にスペシャルな体験をさせてあげることもできます。

 6年の夏期講習は、塾での学習でも一番大変な時期なので、ここを乗り切れたのなら、今さら撤退の2文字はないでしょう。他の活動をすべて犠牲にして、3年間も頑張ってきて、入試直前になって撤退するとなったら、それこそ子供にとってはトラウマになりかねません。6年生の終わりまでに夏休みのような時間はもうありませんし、よほどのことがない限り、最後まで突っ走ったほうがいいと思います。結果がどうあれ、頑張った子供を褒めてあげましょう」

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