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「子供にトラウマを残しそう…」悩ましい中学受験から“撤退”の決断 現役塾講師は期限を重視、撤退後の勉強への向き合い方

中学受験のテキストを全部ゴミに出す光景がトラウマに

 首都圏1都3県では「小学6年生の5人に1人が中学受験をする」という状況だが、逆に言えば、5人に4人は最初から地元の公立中学への進学を考えているということ。むしろ公立中学への進学がメインストリームであり、公立にも進学校はいくらでもあり、学業というのは、結局は本人次第である。中学受験から撤退したからといって、進路が制限されるということにはならないはずである。

 それでも、これまで何年もかけて時間や労力を割いてきたことを諦めるのには、なかなか踏ん切りがつかないという保護者もいる。

《中学受験から撤退したら、今までの苦労がすべて水の泡になるような気がします。今まで受験塾で勉強してきたことは、高校受験でも役に立つのでしょうか。うまく高校受験につなげるには、今後、どのように学習を進めればいいのでしょうか》(51歳、会社員男性)

「前に進むための撤退」にするには、どんな点に注意すればいいのか。東田氏は、受験撤退後にも「中学受験のテキスト」を引き続き活用しても良いと話す。

「中学受験からの撤退を決めた瞬間に、“もう勉強しなくていい”とばかりに、中学受験関連のテキストを全部、ゴミに出して捨ててしまう保護者の方がおられます。子供に聞くと、その光景がトラウマになっていて、『自分は親の期待に応えることができなかったんだ』と傷ついたと言います。

 中学受験から撤退したとしても、高校受験に勝負の場を先延ばししただけで、勉強は続きます。中学受験のテキストを捨てる必要はありません。全部をこなすのは難しくても、中学以降、高校以降も必要になる項目だけピックアップする、あるいは、国語と算数だけに絞り、塾のテキストを勉強に活用すればいいのです」

 テキストをどう使って勉強を続けるのが良いのか。見極めのポイントは、高校受験に役立つ単元かどうかだ。

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