田代さんが申し込んだスクールは3か月コースで、国の教育訓練給付制度を利用し、支払った受講料は約35万円ほど。決して安くはないが、制度を活用すれば何十万円も割引になるとあって、どこも人気は高いようだ。
「『プログラミングスクール』と検索すると、比較サイトを含めてぞろぞろ出てきます。有名インフルエンサーを輩出したところとか、超短期間で学べることとか、打ち出し方はそれぞれですが、個人的には現役のエンジニアが講師をしているところがいいなと。
私の通ったスクールは運営母体がそこそこ大きく、未経験者率97%、転職成功率98%とうたっていて、私でもいけそうかなと感じられたのが魅力でした。ただ、スクールといえど強制力はあまりないので、1か月ぐらいで受講生の2割ぐらいが脱落し、卒業したのは入学時の7割ほどでしょうか。卒業しても結局エンジニアではない他の職に就く人も多かった印象です。
転職成功率98%といっても“エンジニアとしての転職”とは言っていませんから、こういう数字なのかもと思いました」(田代さん、以下「」内同)
面接担当者「スクールを卒業したばかりの人に技術は求めていない」
いくらスクールが“エンジニアを目指せる”とうたって、転職をサポートしてくれるといっても、実際に就職活動をするのは自分自身だ。そうしたなか、田代さんは夫の転勤で神奈川に引っ越した後、早々に自社でシステム開発を行なうIT企業からエンジニア職としての内定を得た。勝因は何だったのか、不思議に思った田代さんは、面接担当者に「自分を採用してくれた理由」を尋ねたことがあるという。
「正直私は、スクールでも優秀な部類ではなく、『なんとか卒業できた』レベルです。働き始めて数か月後、なぜ、何も実績がない私を採用したのか、また“スクール卒業”という経歴は強いのかと面接担当の方に聞いてみると、『そもそも、スクールを卒業したばかりの人に技術は求めていない』とあっさり言われました」