では、会社は田代さんの何を評価したのか。田代さんの面接担当者は、「学歴とこれまでのキャリア」だと明かしたという。
「スクール卒業生であることに関しては、“多少知識がある”程度のレベルで、それでいいと。採用理由としてもっとも大きかったのは、私の営業職経験だったそうです。エンジニアというと技術ばかりが重視されるように思っていたのですが、実際は他の社員やクライアントとコミュニケーションが取れないと仕事にならないためとのことでした」
田代さんはもともと理系畑のこともあり、エンジニアとしての仕事について、「試行錯誤しながら制作物が完成に近づくのが楽しい」と充実した毎日を送っているが、改めてスクールを振り返り、「売り手市場、転職に強いなど煽り文句ばかりが独り歩きしている印象がある。受講費用を払えば転職や年収アップが確約されるわけでもないのは注意して」と語る。
「スクールで知り合った“同級生”は、今は飲食店でフリーターをしていて、プログラミングの知識や技術は一切活かしていません。スクールに通っているうちはスキルが身につく感じがして楽しいけど、社会に出たら未経験だし、業界が肌に合わないと言っていました。別にプログラミングスクールに限らず、どんなスクールもそうだと思いますが、本当にその業界でやれるのかどうかはしっかり考えたほうがいいかなと思います」
喫緊の課題であるIT人材不足。スクールビジネスはますます盛り上がることが予想されるが、お金をムダにしないためにも甘い言葉に惑わされず、そもそも自分はエンジニアに向いているのか、通い続けられるのかなど、“卒業後の生活”を見据えることが肝要だといえそうだ。(了)