50代を迎えても転職を考える人は少ない。人生100年時代、その先まだまだ稼ぐ必要もあるだろう。転職の成功・失敗を分けるものは何か。フリーランス記者・S(58才女性)が自らの体験を振り返る。
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わが身を振り返ると、フリーランスの記者として、寄る辺なき立場。1か月、仕事がないなんてこともざらだ。しかも、私には特筆すべきスキルや資格もない。
そんな私でも仕事が見つかるものだろうか? いや、もしかして、いまよりもっと適した仕事が見つかるかも?と、仕事探しをしてみると、いろいろな求人サイトがあるのにびっくり!
試しに名前を聞いたことのある会社にアクセスし、簡単なプロフィールと連絡先、希望の勤務地や職種、勤務時間などを記入して登録すると、さっそくスマホに、「あなたにおすすめの仕事です!」と通知が来た!
連絡が来ると、社会に認められたようでちょっとうれしい。頻繁に募集があるのは、倉庫内での検品や仕分け、スーパーや百貨店の商品陳列、データ入力などの軽作業だった。興味のある仕事があれば「応募する」をクリックしてエントリーは完了。選考に通れば、メールで面接の要請が来る。実に簡単だ。
実際に面接を受けたものの…
そこで、シニアが多く働く宅配業社の仕分け業務に応募すると、翌日には面接の依頼が! 数十年前の就活を思い出して、少しときめいてしまった、が……。
「具体的に働ける曜日と時間はいつですか?」
「ええっと、強いていえば月曜の午前なら……」
「すぐにでも働けますか?」
「うーんと、できれば来月から……」
しどろもどろの面接の最後に、「採用の場合は一両日中に電話します。3日以内に連絡がなければ見送りということで」と、担当者からひと言いわれて終了。この間約30分。猫の手も借りたいはずだ、とタカをくくっていたが、連絡が来ることはなかった。働きたいという意志が伝わらなかったのだ、きっと……。
数日後、出版社から面接の要請が。やみくもに応募したうちの1つのため、どんな業務内容だったかすっかり忘れていたが、「出版社なら現業に近い仕事ができるかも」と期待に胸を躍らせて面接へ。