夫婦はどちらかが必ず先に逝く。そのなかで、これまで置き去りにされてきたのが、「ひとりになった時のお金」の問題だ。ひとり身になっても変わらぬ出費から実は増えやすいお金まで、収支の現実を知ることが“いざその時”への備えになる。
家計の収支を可視化しておくことは、この先ひとりになった時の出費に備えるうえで不可欠である。今から夫婦でできるお金の防衛策の1つが、掲載した収支整理ノートの作成だ。
監修したファイナンシャルプランナーの真山(さのやま)英二氏が解説する。
「まずは夫婦で給料や年金などの収入を書き出していきます。給料を受け取っている人は手取りの額を記入しましょう。
続いてひと月の支出を『固定費』『変動費』『特別支出』『数年ごとの特別支出』と項目別に分けて書き出す。収支がマイナスであれば、平均余命までの残り年数を加味して資産寿命がいつまで続くかを計算してみましょう。数字は大まかでもかまいません。収支ノートをつけることにより、ひとりになると何にどれだけの出費が発生するか、ある程度の目安が分かる。夫婦でこの数字を把握しておくことが備えには欠かせません」
厚労省の「令和4年簡易生命表」によると、現在65歳の男性の平均余命は19.44年。残り約20年の間にどれだけ資産寿命が続くか、不足するならその金額がいくらでどう補填するのかの対策を考える。
「具体的なお金の流れを知っておけば、ひとりになった時にどこを節約できるかが分かります。また、パートやアルバイトをする、投資を始めてみる、生命保険を検討するといった計画も立てやすくなります」(真山氏)
収支整理ノートで家計を把握したうえで、ひとりになった時のための対策を講じておきたい。
※週刊ポスト2024年8月2日号