遺族厚生年金の請求は死亡した日から5年以内の時効
遺された妻への救済制度を確認しておくことも欠かせない。その筆頭が「遺族年金」だ。
厚生年金の加入期間が25年以上ある夫が亡くなった場合、妻は「遺族厚生年金」を受け取れる。受給額は、夫の厚生年金受給額の4分の3となる。
例えば夫の年金が約198万円(基礎年金約78万円+厚生年金約120万円)の場合、妻は自分の老齢基礎年金(約78万円)に加え、夫の厚生年金の4分の3(約90万円)が遺族厚生年金として上乗せされ、合計で約168万円を死ぬまで受給できる。
ただし注意点もある。社会保険労務士の蒲島竜也氏が語る。
「遺族厚生年金の請求には時効があり、死亡した日から5年以内に請求する必要があります。また、妻の年収が850万円以上あると、遺族厚生年金を受給できない可能性があります」
自営業者などで国民年金に加入していた夫が亡くなった場合は、「遺族基礎年金」がある。蒲島氏が語る。
「こちらは18歳未満の子がいることが条件です。支給額は『78万円+子の加算』で、子が2人までは各約22万5000円が、3人目以降は各7万5000円が加算されます」
子のいない夫婦でも、夫が年金受給前なら最高32万円の「死亡一時金」や、妻が60~64歳の間に年間約58万円の「寡婦年金」がもらえる可能性がある。
「ともに制度を知らない人が多いので要注意です。死亡一時金は夫の死後2年以内、寡婦年金は死後5年以内に年金事務所で手続きしないともらえません」(蒲島氏)
配偶者への救済制度は漏れなくすべて活用することが重要だ。