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河合雅司「人口減少ニッポンの活路」

【人口激減社会ニッポンの未来】2023年生まれが歩む「苦難の一生」 学校統廃合で小学生から遠距離通学、就職は楽勝でも“仕事は3人分”

日本人人口は50年後に半減、100年後に9割減の可能性も

日本人人口は50年後に半減、100年後に9割減の可能性も

 2023年の日本人の年間出生数は過去最低の72万7277人(概数)を記録した。出生数の実績値は、すでに政府の予想をはるかに上回る激落ペースとなっている。2019年から2023年にかけて急落し、この5年間の出生数の対前年下落率は平均「マイナス4.54%」である。

 この出生数の減り方を基に試算をすると、日本人人口は2045年までに1億人を割り込み、2070年に6220万人とほぼ半減する。2120年は1500万人ほどとなり、日本は「小国」に変わり果てる──。ベストセラーシリーズ『未来の年表』の著者で、新刊『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』を上梓した河合雅司氏が、人口激減社会ニッポンの未来を喝破する。

2030年にはバス運転手が3万6000人も不足する

 人口減少のリアルを無視し、「現状維持バイアス」にとらわれ、虚偽の政策を続けていたのでは日本は瓦解する。

 すでに日本の崩壊は随所で見られる。

 多くの人が実感しているのがドライバー不足だ。宅配や長距離のトラックのみならず、路線バスもサービスの縮小を始めた。日本バス協会の試算によれば、2030年にはバス運転手を9万3000人しか確保できず、路線維持に必要な人数に対して3万6000人も不足する。

 縮小は東京も例外ではない。大都市では鉄道の駅までバスを利用して通勤や通学する人が少なくないため、バス路線が廃止されたエリアからは若い世代や子育て世代の流出が進むだろう。そうなれば、地価や賃料にも大きく影響することは避けられない。

 国立社会保障・人口問題研究所の「出生低位・死亡高位推計(出生数の減少と死亡者の増加が激しい予測)」で2020年と2040年を比較すると、80歳以上の日本人は294万人も増える。しかもその多くは1人暮らしとなる見込みだ。物流が寸断したり、地域の足が不便となったりする地域が拡大していけば「買い物難民」が激増する。

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