恵子氏に誘われて光栄に入社し、常務取締役を務めた伊藤通宏氏が言う。
「恵子さんが事業を拡大できたのは、経営能力と外部との折衝能力の2つがあったからだと思います。ソニーが『プレイステーション』を世に出す時、当時はどのゲームメーカーも1強だった任天堂の顔色を窺っているなか、真っ先に手を挙げたのはコーエーでした。プレステの開発担当だった元ソニー副社長の久夛良木健さんは『日本の政治家はだらしない。襟川恵子を総理大臣にしたい』と言ったこともある」
恵子氏は「投資の天才」としても知られ、「孫ちゃん」と呼ぶ旧知の孫正義氏に請われて2021年からソフトバンクグループの社外取締役も務めている。
「ゲームの販売が落ち込んでも無借金経営が続けられるのは恵子さんの株式投資の手腕があってのこと。2人の娘さんとも仕事で何度も顔を合わせていました。長女の芽衣さんは現在、女性向けゲーム関連の総合プロデュースに邁進し、ソフト開発能力を持っていた次女の亜衣さんは現在、2人のお子さんの育児が忙しいようです」(同前)
令和の日本経済は女性長者たちが動かしはじめている。
※週刊ポスト2024年8月16・23日号