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円広志さんが明かす、亡くなった妻への思い 「死後の整理や手続きは、少しずつ受け入れて消化していくために必要な作業だったのかも」

もう会えないんだな

 妻の死後は死亡届の手続きや遺品整理、各方面への連絡を仕事と並行して行なわなければならなかったので、亡くなってしばらくは忙しくて悲しみに浸る時間もなかった。闘病生活が長かったので、ある程度の身辺整理をしてくれていたのですが、妻も存在を忘れていたような銀行口座がたくさん出てきたし、クレジットカードや生命保険も含めて遺族である僕がやらなければならない解約の手続きがたくさんありました。

 半年ほどして生活が少しずつ落ち着いてくると、夜中に急に妻の顔が浮かんで「そうか、もう会えないんだな……」と気持ちが沈むことがぽつぽつと出てきました。

 逆に言えば、手続きに追われる日々がなく、ひとりで何もやることがない状況だったら一気に落ち込んでいたと思います。死後の整理や手続きは、少しずつ妻の死を受け入れて消化していくために必要な作業だったのかもしれません。

 妻の死から学んだことは、嬉しいことも悲しいことも「生きるエネルギー」に変えることが大切だということ。当たり前の話なのかもしれませんが、妻を失っても前向きに“いま”を生きることが大事だと思います。

 幸いなことに、まだまだ自分は健康体です。仕事があることの感謝を以前よりも感じるようになったし、もうひと頑張りしてみますよ。

【プロフィール】
円広志(まどか・ひろし)/1953年生まれ。タレント、シンガーソングライター。代表曲に『夢想花』などがある。

※週刊ポスト2024年8月16・23日号

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