政治家の思いつきに振り回される“不毛”な作業
「官邸主導」は、一部の官僚に露骨な忖度が見られるという弊害ももたらした。各省庁の幹部が首相や閣僚などの顔色を極度に窺い、政治家の思いつきのような政策に振り回されることも少なくない。
それでも官僚には国の政策に直接関わるダイナミズムがあり、それに意義を感じる人も少なくない。だが、実際に行っている仕事といえば「霞が関文学」と揶揄される些末で独特な作法の書類作成や、政策に明るくない閣僚や国会議員への説明や根回しが中心だ。何度も書類の作り直しを求められ、不毛な作業にかなりの時間を奪われている。
政策に無理解な閣僚や横槍を入れる政治家に幹部官僚が迎合する姿に失望し、あるいは社会で役立つスキルが身に付かないことへの焦りなどから、最近は若手官僚が退職するケースが目立つ。
東大生の官僚離れの要因としては、こうした“やりがいのなさ”や“不甲斐なさ”によるところのほうが大きいかもしれない。
【プロフィール】
河合雅司(かわい・まさし)/1963年、名古屋市生まれの作家・ジャーナリスト。人口減少対策総合研究所理事長、高知大学客員教授、大正大学客員教授、産経新聞社客員論説委員のほか、厚生労働省や人事院など政府の有識者会議委員も務める。中央大学卒業。ベストセラー『未来の年表』シリーズ(講談社現代新書)など著書多数。最新刊『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』(小学館新書)では、最新の統計データに独自の分析を加えた未来図を示し、これからの日本が人口減少を逆手に取って「縮んで勝つ」ための方策を提言している。