国内の住宅総数に占める空き家の割合は13.8%──。総務省の住宅・土地統計調査(2023年10月時点/速報集計)によれば、全国の空き家率は過去最高を記録した。前々回調査は13.5%、前回調査は13.6%で、一見すると頭打ち状態になっているようにも思える。しかし、「それにはカラクリがある」と河合雅司氏(人口減少対策総合研究所理事長)は指摘する。どういうことか──。最新刊『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』が話題の河合氏が解説する(以下、同書より抜粋・再構成)。
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総務省が5年ぶりに実施した住宅・土地統計調査(2023年10月時点)の速報集計によれば、空き家数は前回調査(2018年)より約50万6000戸増えて過去最多の899万5200戸となった。国内の住宅総数に占める割合(空き家率)も過去最高の13.8%を記録した。
都道府県別の空き家の割合は、和歌山県と徳島県が同率トップ(21.2%)だ。山梨、長野、高知、鹿児島の各県も20%を超えており、空き家問題は人口減少が加速する「地方圏の課題」といった印象を受ける。
だが、実数で順位付けすると、89万7900戸の東京都が最多だ。大阪府(70万3300戸)、神奈川県(46万6200戸)、愛知県(43万3200戸)が続く。
これら4都府県に、東京圏の埼玉県(33万3200戸)、千葉県(39万3400戸)および大阪府と一体的な生活圏を築いている兵庫県(38万5000戸)を含めた三大都市圏の7都府県で計算すると、全国の空き家の40.2%にあたる361万2200戸となる。空き家問題は、住宅の多い大都市圏の課題でもあるのだ。
大都市圏の空き家は、マンションやアパートといった共同住宅が“主役”だ。空き家といえば、「朽ち果てた一戸建ての木造住宅」とのイメージを抱きがちだが、実は全体の55.8%が共同住宅(502万3500戸)なのである。東京都(87.5%)や大阪府(72.8%)はかなり高い数字となっている。