2043年には「空き家率25.3%」との試算も
空き家は今後、さらに増える見通しである。野村総合研究所は2043年には空き家率が25.3%に上昇すると試算している。
一方、「住宅・土地統計調査」で過去の空き家率の推移を確認すると、前々回調査(2013年)が13.5%、前回調査(2018年)は13.6%だ。今回調査で過去最高を記録したといっても13.8%であり、前回と比べて0.2ポイント上昇したにすぎない。
頭打ち状態に見えるのにはカラクリがある。分母である住宅総数が、空き家数以上に増えているのだ。
2018年と2023年を比較すると、空き家は約50万6000戸増えたが、住宅総数は5倍以上の約261万4000戸増だ。空き家の実数は毎年平均10万戸ペースの勢いで増え続けているのに、それを上回る分母の拡大が上昇率を極めて緩やかなものに見せているのである。
【プロフィール】
河合雅司(かわい・まさし)/1963年、名古屋市生まれの作家・ジャーナリスト。人口減少対策総合研究所理事長、高知大学客員教授、大正大学客員教授、産経新聞社客員論説委員のほか、厚生労働省や人事院など政府の有識者会議委員も務める。中央大学卒業。ベストセラー『未来の年表』シリーズ(講談社現代新書)など著書多数。最新刊『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』(小学館新書)では、「今後100年で日本人人口が8割減少する」という“不都合な現実”を指摘した上で、人口減少を前提とした社会への作り替えを提言している。