基幹的農業従事者のうち50代以下はわずか2割
農業の担い手不足は危機的だ。農林水産省によれば、基幹的農業従事者の平均年齢(2023年)は68.7歳だ。2000年に240万人だったが、2023年には116万4000人と半数以下となった。このうち、50代以下は23万8000人に過ぎない。
60代が24万3000人(全体の20.9%)、70代以上が68万3000人(同58.7%)を占めている。この年代は今後20年で引退することが予想されるが、そうなれば基幹的農業従事者は8割減る。影響は10年もしないうちに色濃く表れるだろう。
担い手不足は農地(耕地)の縮小に直結する。耕作放棄地や用途転用が進み、2023年は429万7000ヘクタールとなった。最大だった1961年(609万ヘクタール)と比べ179万3000ヘクタールほど少ない。毎年の減少が止まらないのだ。
今後、基幹的農業従事者が激減すれば、農地面積はさらに急減するだろう。多くの人は意識していないだろうが、日本人は“飢餓”と隣り合わせなのである。
【プロフィール】
河合雅司(かわい・まさし)/1963年、名古屋市生まれの作家・ジャーナリスト。人口減少対策総合研究所理事長、高知大学客員教授、大正大学客員教授、産経新聞社客員論説委員のほか、厚生労働省や人事院など政府の有識者会議委員も務める。中央大学卒業。ベストセラー『未来の年表』シリーズ(講談社現代新書)など著書多数。最新刊『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』(小学館新書)では、最新の統計データに独自の分析を加えた未来図を示し、これからの日本が人口減少を逆手に取って「縮んで勝つ」ための方策を提言している。