“令和の米騒動”と一部のメディアで報じられるほど、各地のスーパーの米売り場や販売店で品不足が続いている。それに加えて、猛暑や豪雨による野菜の値上がり、不漁のための海産物の品薄など、“食の危機”を感じさせるニュースが相次いでいる。そもそも食料自給率が低く、食料の多くを輸入に頼る日本は、このままで大丈夫なのか──。
人口減少問題の第一人者で、最新刊『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』が話題のジャーナリストの河合雅司氏(人口減少対策総合研究所理事長)が解説する(以下、同書より抜粋・再構成)。
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日本崩壊の予兆の中でも、最も看過できないのが「食」への影響だ。日本は「輸入してまで食べ残す国」と言われてきたが、それは強い経済成長があってのことである。
スーパーマーケットに所狭しと並ぶ食料品──。そんな日常の風景が「当たり前」ではなくなる日が来るかもしれないと思い知らされたのが、ロシアによるウクライナ侵略をきっかけとした穀物やエネルギー価格の高騰だ。ロシアがウクライナなどとの黒海穀物合意を停止する暴挙に出て、世界各地で小麦などの流通量が減ることになったのだ。
むろん、現在の食料品価格の上昇はウクライナ侵略に伴う影響だけが要因ではない。気候変動による世界各地での相次ぐ不作や、コロナ禍からの各国経済の回復に伴う食料需要の高まりなど、いくつもの要因が絡み合って起こっているが、このようにどこか1国でも計画通りの供給ができなくなると、他の主要産地で干ばつなどが発生した場合の影響がその分だけ大きくなる。
一方、日本の2022年度の食料自給率はカロリーベースで38%、生産額ベースでも58%に過ぎない。2022年度の小麦は国内生産量110万トンに対し、輸入量は538万トンだ。トウモロコシも306トンと1531万トンで、いずれも満足に自給できていない。