プログラミングスキルや専門知識がなくても簡単にAIが扱えるとして、2022年12月の登場以来、ユーザーを増やし続けている生成AIの「ChatGPT」。文章作成や内容の要約などが手軽にできるとあって、広く学習や研究、ビジネス面での利用も注目されるなか、今やレポートなどの課題で活用する大学生も少なくないという。
しかし、まだまだ誰もがその使い方に精通しているわけではなく、利用者によってその“精度”もまちまち。また、ときに事実誤認や引用元が不明確などの問題点も指摘され、大学では「使用禁止」とする教員もいるようだ。大学生の課題作成において生成AIの利用は制限されるべきなのか。大学教員たちが直面する悩ましい問題について、話を聞いた。
ChatGPTを利用を制限する理由
話をしてくれたのは、都内の名門私立大学講師で商学系を専門とする内山さん(仮名・30代男性)。「生成AIを使用することに関して批判的、あるいは慎重な教員は少なくない」と現場の声を明かす。
「そもそも学問分野では、課題を積み上げる途中に新しい発見があると考えているので、ChatGPTによるショートカットは良くないとおっしゃる先生は一定数います。また、なぜよくないかという一つの理由に、AIの活用で相対評価が崩れることがあります。ChatGPTに課金している層の成績が良くなると、本人の努力や能力ではない部分で差が生まれてしまうからです」(内山さん。以下「」内同)
とはいえ、どこまで使用を制限できるのか。
「対策としては、課題の参考文献を数冊用意して、そこからの引用を条件にしたり、参考書や論文を用意し、指定された枚数の用紙にまとめさせたりするものがあります。どちらも自分で読まなければいけませんし、論文や参考書を全てChatGPTに読み込ませるよりも、結局自力で読んだ方が早く終わるからです」