また、後者(動物虐待のおそれがある場合)は、動物の鳴き声が過度に継続している、または頻繁に異常な鳴き声が発生しているか、さらに動物のふん尿その他の汚物の不適切な処理や放置により臭気が継続して発生しているのに、飼い主が都道府県職員の指示に従わなかったり、調査を拒んで改善の見込みがないといった場合です。
ともにハードルは相当に高いですが、周囲の住民も同様の迷惑を受けていれば、共同で知事に申し出ることで、命令に従わない飼い主に代わって、行政による適切な飼育の実施が期待できます。そのためには同じ苦痛を感じている住民がたくさんいることが前提ですが、一緒に行動するよう働きかけることが必要になります。
動物愛護法では、条例に基づき、都道府県や政令指定都市等に動物愛護管理担当職員を置き、動物愛護に関する監視や指導をさせることになっています。まずは最寄りの役所に相談するのがよいと思います。
【プロフィール】
竹下正己/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。
※女性セブン2024年9月12日号