不要不急の外出の自粛が求められ、自宅で仕事をすることも多いいま、隣人トラブルに発展しやすい状況にある。これまではあまり気にならなかった騒音にウンザリしている人もいるだろう。53才パート勤務女性は、アパート上階の住民がペットを飼い始めたことでトラブルになっているという。その実例を紹介するとともに、適切な対処法について、専門家に話を聞いた。
【実例】
私が住む木造アパートの上階に住む30代男性が最近、猫を飼い始めたようなんです。というのも、夜中になるとカリカリと壁や床をひっかく音がしたり、高いところからドンと何かが落ちる音が聞こえるようになったのでわかったのですが……。で、その音が気になって仕方がないんです。実は私、床を踏み鳴らす音にトラウマが……。夫のDVから逃げて、一昨年にようやく離婚が成立したのですが、いまだに“ドン”という床を叩く音がすると、元夫の地団駄を思い出して恐怖に苛まれるんです。
まだ子猫なので元気なのでしょうね。毎晩ドタドタと走り回り、その音で私は眠れない日々。睡眠不足でパート先でもミスを連発して、お客さまと店長に叱られ、もう踏んだり蹴ったり。しばらくがまんしていましたが、このままではノイローゼになりそうだったので、大家さんに相談に行ったんです。すると、めんどくさそうな顔をされ、
「あの人、私にお歳暮をくれるしっかりした人なのよ。だからこちらとしても大きな問題にはしたくないのよね。うちはペット不可じゃないし」
と、取り合ってもらえませんでした。こうなると引っ越しするしかないのでしょうか(53才・パート)。
【対策】カーペットを1枚敷いてもらうだけでも衝撃音が緩和します
一級建築士で日本大学名誉教授の井上勝夫さんが、騒音を軽減するテクニックを教えてくれた。
「ドアの開け閉め音や、ペットや子供が走り回る音を固体音といい、上階の人に厚めのカーペットを1枚敷いてもらうだけでもかなり軽減できます。このことを直接言える関係なら、そうしてみてください。ただ基本的には、大家や管理会社に間に入ってもらうのがよいので、大家への相談も続けた方がいいと思います」
取材・文/前川亜紀
※女性セブン2021年6月3日号