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【ファストリ柳井氏も警鐘する「日本崩壊」】人口減少に伴い路線バスは廃止・縮小、小中学校は統廃合、国民負担率は五公五民…「最大の国難」を乗り切る勝ち筋はあるのか

2023年生まれの未来図

2023年生まれの未来図

出生数減少の真因は「母親不足」

 周回遅れの最たるものが、少子化対策である。子育て支援の強化だけで人口減少対策をしたかのような気になっている政治家は多いが、すでに手遅れだ。

 国会議員や首長、経済団体の幹部などには、いまだ「出生率が上がれば、出生数は増える」と固く信じている人が少なくない。

 だが、これらが事実誤認であることは2005年と2015年の“ねじれ現象”が証明している。2005年とは合計特殊出生率が当時の底である1.26に落ち込んだ年だ。その後の子育て支援策もあって2015年には1.45にまで回復した。しかしながら、出生数のほうは106万2530人から100万5721人へとむしろ減ってしまった。

 なぜ“ねじれ現象”が起きたのかといえば、出産期である25~39歳の女性人口が17.7%も減ったためだ。出生数減少の真の原因は「母親不足」なのである。

 2023年までの直近10年をみると出生数は29.4%の大激減となったが、これも「母親不足」によるところが大きい。この間の25~39歳の日本人女性は19.0%も減っている。これに未婚率の上昇や夫婦がもうける子ども数の減少といった結婚や子どもに対する人々の価値観の変化が加わり、急落したのである。

 ちなみに、「母親不足」は今後さらに加速する。総務省の人口推計で2023年10月1日現在のこの年齢の日本人女性数を確認すると914万6000人だ。一方、25年後にこの年齢に達する0~14歳は25.7%も少ない679万5000人でしかない。四半世紀で4分の3にまで減るのでは、「異次元の少子化対策」として莫大な財源を投じても、効果は期待できまい。

「少子化対策の強化など無駄だ」と言いたいわけではないが、もはや日本は出生数の減少も、人口減少も止めようがないのだ。年間出生数が50年もせず10万人を下回る可能性を否定できず、100年もすれば日本人は8割近く減る。出生数の回復を待ってはいられないということである。事態がここに至っては、政府が取るべき政策はこの“不都合な現実”を受け入れ、人口が減ることを前提として社会を作り直すことだ。このままでは足下から日本社会が崩れていく。

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