早めに会社を辞めると自己都合退職になり、退職金が減るリスクがあります。それに、65歳以降は年金をもらえます。
退職金はまとまって大きなお金が入ってくる機会です。「失業手当が使えるうちに」と慌てず、定年で満額の退職金をもらって、高年齢求職者給付金を受けながら再就職先を探しましょう。
企業側も、「あとちょっとで65歳?」「なんかせかせかしている」人より、落ち着いていて、経験をまろやかに発揮してくれそうな人のほうが魅力的に映るのではないでしょうか。
同じ会社で「再雇用」も支援あり──高年齢雇用継続給付
なかには、「高齢になっても働きたいけれど、転職するのはちょっと……」と躊躇する人もいるでしょう。そのような人は、今いる会社に勤め続ける選択もアリです(再雇用)。
ただ、定年後も長く働こうとするときに気になるのが、賃金の条件。再雇用後は賃金が下がるのが普通です。
日本では2020年4月から「同一労働同一賃金の原則」が適用され、雇用形態にかかわらず同じ仕事をするのであれば同じ賃金を得ることがルール化されました。
つまり、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の“不合理な待遇差”が解消されたわけですが、体力の低下など合理的な理由で賃金を引き下げるのは合法となっていて、定年前の賃金が保証されるとは限りません。
そのようなとき、減少した収入を補ってくれるのが、「高年齢雇用継続給付」。この制度には、「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」という2種類の給付金が設けられています。
60歳時の給料の「75%未満」だともらえる給付金
高年齢雇用継続基本給付金は、60歳到達時点と比べて、「賃金が75%未満に低下した状態で働き続ける、60歳以上65歳未満の雇用保険被保険者」に対して支給されます。
実際に給付される額は賃金の低下率によって変動し、61%以下の場合は一律15%、61%超75%未満の場合は細かく設定されています。これを利用することで、「60歳到達前の」賃金の75%程度」が確保できるしくみです。
たとえば60歳時の賃金が30万円で、再雇用後の賃金が18万円に減った場合、賃金は60%に下がっているので、18万円×15%=2万7千円を65歳に到達する月まで毎月受け取れます。