円高リスクも無視できないと横川氏が続ける。
「円安なら恩恵の大きい保険ですが、円高になると受け取れる額が減って元本割れリスクが生じます。相場の知識がないまま外貨建てに手を出すと、失敗しがちです。同じ外貨建てなら、米ドル建てMMF(公社債投資信託)のほうが、手数料が安いので初心者も手を出しやすい」
大病に3回以上かからないと元が取れないものも
医療保険も無駄になりやすい。
「例えば50歳から85歳まで月額保険料5000円の医療保険に加入すると計210万円かかります。入院給付が1日1万円出たとしても、60日間入院するような大病を3回以上かからないと元が取れません」(同前)
大きな手術をしても入院日数が減っている昨今、入院費の保障が必要なのか再考したい。
最近CMでよく見かける“何歳でも入れます”“持病があっても入れます”との謳い文句の格安保険にも注意が必要だと横川氏は言う。
「それらの商品は保障内容が薄いものが散見されます。高齢になり保険加入が難しくなってきた世代を狙い、結局は特約などで割高な保険に加入することになります。
医療費は過度に心配しなくてもいい。高額療養費制度を使えばひと月数万円で収まることが多く、月々の医療保険の保険料を貯蓄に回して、医療費は健康保険の自己負担分でカバーすれば十分賄えます」
万一の備えは必要だが、出費に見合う保障かどうかの見極めが重要だ。
※週刊ポスト2024年9月20・27日号