「入居一時金の減価償却」がネックに
施設の入居で大損するケースもある。
「近年人気のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は老人ホームと違って順番待ちも少なく費用面も割安です。ただし、ケア体制がネックになる。サ高住の場合、基本的に介護のケアは最低限で、医療体制もありません。入居したものの結局は訪問介護や医療機関を頼り、負担が増えていくケースが珍しくない」(同前)
有料老人ホームでも失敗事例は多い。横井氏によれば、往々にして「入居一時金の減価償却」がネックになるという。
「私の知る男性は入居一時金の700万円が3か月で50%償却され、職員と反りが合わずに半年で退去しようにも350万円しか戻らないと嘆いていました。概ね5年間で償却されますが、最初の3か月間で10~30%、中には50%を償却するホームもある。入居前に償却の割合を確認しなかったことでトラブルになるケースが見受けられます」
万一の退去を見据えて、「定額償却」「定率償却」の違いも覚えておきたい。
「ここを理解せずに入居した結果、損してしまう人が絶えない。初期償却後に毎年100万円など一定金額が引かれる定額償却に対し、定率償却は1年ごとの償却が率で決まる。例えば1000万円の初期償却が30%なら300万、翌年は210万円、その翌年が147万円償却されるので、定率のほうが償却スピードが速い。入居する施設がどちらの償却方法を採用しているか、事前に必ず確認しましょう」(同前)
※週刊ポスト2024年9月20・27日号