暦年贈与で失敗しないためには、客観的に贈与を証明する「贈与契約書」の作成が望ましい。
「決まった雛形はありませんが、“いつ・誰が・誰に・何を・どのように”贈与したかを書面に明確に記しておきます。暦年贈与の場合は、毎年作成して保管しておきましょう」(同前)
贈与契約書を2通作成し、贈与者と受贈者がそれぞれ保管する。
贈与し過ぎで困窮してしまう人も
一方、生前贈与で老後資産が枯渇してしまうケースもある。
2023年の税制改正で、「結婚・子育て資金の一括贈与」(上限1000万円)や「教育資金の一括贈与」(上限1500万円)の非課税措置の期限が延長され、若い世代への資産の移転が推奨されるようになった。そのため生前贈与を検討する人が増えているが、「贈与し過ぎ」で困窮してしまう人もいるという。
「人生100年時代の長生きリスクを想定せず、多額のお金を贈与して失敗する人が目立ちます。教育資金として孫に老後資産から1000万円を渡した後に妻が脳卒中を患い、介護費で生活が困窮したという相談もありました」(同前)
生前贈与に失敗する人に共通するのは「相続財産をしっかりと把握していない」ことだと佐藤氏。
「生前贈与の目的は相続財産を減らして相続税を減らすことですが、実際に相続税がかかる人は全被相続人の1割程度。まずは自分の財産に相続税がかかるのか、財産の棚卸しをして相続税対策が必要なのかを確認しましょう」
数々の失敗談から学ぶことは多い。
※週刊ポスト2024年9月20・27日号