田代尚機のチャイナ・リサーチ

【15年連続で最大の貿易相手国に】中国が「一帯一路」で重要視するアフリカ戦略 中国アフリカ協力フォーラムでさらに緊密化が進む

中国アフリカ協力フォーラム北京サミットに出席した各国首脳(ABACA PRESS/時事通信フォト)

中国アフリカ協力フォーラム北京サミットに出席した各国首脳(ABACA PRESS/時事通信フォト)

 2023年の中国アフリカ間の貿易額は2821億ドル(40兆3403億円)で、2年連続過去最高を記録した。このフォーラムが始まって以来約24年が経過したが、この間の貿易額は26倍近くまで拡大しており、アフリカ(全体)にとって中国は15年連続で最大の貿易相手国となっている(新華社、9月3日付)。

 中国が提唱する一帯一路戦略において、アフリカの位置付けは決して小さくない。2023年における名目GDPの順位において、最高はエジプトの39位で、南アフリカは40位、ナイジェリアは42位、アルジェリアは54位に過ぎず(IMF)、現時点での各国の経済規模はそこまで大きくないが、国土面積をみると、アルジェリアは10位、コンゴ民主共和国は11位、スーダンは15位と広い国土を持つ国が多く(FAO)、人口ではナイジェリアが2億2218万人で第6位、エチオピアが13位、エジプト14位、コンゴ民主共和国が16位など人口の多い国も少なくない(IMF)。今後アフリカ各国が経済発展を遂げるためには、道路、鉄道、空港、農業、都市、エネルギー、通信などに関するインフラ設備がまず必要となるが、これらはいずれも中国企業が強い競争力を持つ産業だ。

 市民の生活に密着した製品では、たとえば太陽光パネルであるとか、その太陽光パネルで発電した電気で走る自動車とか、そのほか空調設備、冷蔵庫、節水型洗濯機、テレビからスマホに至るまで、中国は安価な製品を大量に供給する能力を持っている。中国にとってアフリカは、潜在的に有望な市場だ。

 中国はアフリカ以外にも、発展途上にある国々と複数の協力体制を構築している。毎年持ち回りで開催されるBRICSとのサミット会議が広く知られているが、それ以外にも、ASEAN、ラテンアメリカとの間でもトップ同士による会議が定期的に持たれている。こうした国際交流は双方の経済発展を模索するための重要なプラットフォームになっているだけではなく、政治、文化、社会のいろいろな分野で相互理解を深めることに貢献している。

 中国は欧米と比較すれば価値観の違いに極めて寛容だ。如何にも通商国家らしいやり方で自由貿易を推進し、それを安全保障に役立てているようだ。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」も発信中。

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