約18億7000万円──これは、昭和天皇の崩御後に明らかになった課税遺産額だ。上皇さまは、昭和天皇の皇后だった香淳皇后と、その遺産を2で割った約9億円を相続。相続税として約4億3000万円という大金を納められた。
私たちの身近にある相続の悩みは、皇室の方々にとっても無縁ではなく、むしろより深刻な問題となっている。
9月1日、宮内庁侍従に内藤大三氏が着任した。前職は日本生命株式部副部長で、これまでに信託銀行や資産運用会社の役員などを歴任した、筋金入りの「資産運用のプロ」だ。
「慣例的に、侍従には経済界出身者のポストがあります。内藤氏の前任者は、東京ガスの出身でした。内藤氏は資産運用にかかわる仕事のみをするわけではないと思いますが、皇室にとって、資産管理や投資の専門家が身近にいることはメリットも大きいと思います」(皇室記者)
株や債券で低リスク運用
皇室の生活や活動のために、毎年、「内廷費」や「皇族費」が支払われている。たとえば天皇ご一家と上皇ご夫妻の5名に支払われる内廷費は3億2400万円(2024年度予算)。それが、御手元金として天皇家のプライベートな財布に入る。
「『内廷会計主管』名義の銀行口座で預貯金を管理する一方、金融商品で幅広く投資運用も行われているといいます。と言っても株や債券の運用方針は低リスク。配当収入を得る目的が中心で、短期的な売買などはしていないとされます」(宮内庁関係者)