快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた

「新基準原付」登場で過渡期を迎える小型レジャーバイク そのパイオニア的存在「ホンダ・ダックス125」の侮れない“走りの実力”

ワインディングでも力強さを発揮

 前述した2025年問題もあり、現行「ダックス」の排気量は123cc一択。当然、排出ガス規制に対応した空冷単気筒エンジンが載っています。直接の比較にはならないのですが、今も販売されているスーパーカブの排気量49ccのモデルが3.7馬力、対してダックスの123ccエンジンは9.4馬力と、さすがにパワフル。ストップ&ゴーを繰り返す市街地だけでなく、郊外へのツーリングでも不足を感じることはありません。

 とくに感心するのはワインディングでの爽快な走り。低速はもちろんのこと中速でも十分に力強さを発揮し、ワインディングでも力不足など感じることなく、駆け抜けます。

 一方で町中のゆったりとした走行モードでは、単気筒エンジンならではのコトコトとした心地いい鼓動感を伴いながら走れます。もちろんスロットル操作にレスポンス良く反応してくれますから、じれったさとは無縁です。ただ、シフトチェンジには左手によるクラッチレバーの操作がいらない自動遠心クラッチを採用していますが、スムーズに変速するには多少の慣れが必要。この辺はスーパーカブなどと同じように、ギクシャクしないシフトチェンジには、少しだけスキルが求められるわけです。この点さえクリアできれば、制限速度は普通車と同じ60km/hであり、十分に交通の流れにも乗りながらスムーズでキビキビとした軽快な走りを楽しめるのです。なおオプションアクセサリーとして用意されている「クロック&ギアポジションメーター」を装備するとスムーズなシフト操作で重宝しそうです。

 こうした走りのパフォーマンスをトータルで見ると、近所のちょい乗りから、外遊びのグッズを積んでの中距離ツーリングまで確実にこなしてくれます。「オートマチック車限定の小型二輪免許」でも乗れるという手軽さがあるダックスですが、侮れない走りの実力を持ち合わせているわけです。もちろん走りの安全を支えるために前・後輪にはディスクブレーキ(前輪はABS)、ヘッドライトにはLEDなどの最新技術を採用し、時代にしっかりと対応しています。

 加えて、段差のないダブルシートは座り心地がよく、シート高も775mmに設定されていて、足着きは実にフレンドリー。ライディングスタイルもすぐにピタリと決まり、確実にかかとが地面に着くのです。こうして両足で確実に踏ん張りがきくと、信号待ちや細い市街地の道、さらにはラフロードでの扱いが実に楽で、安心感も高いのです。こうした点は2輪経験の少ないビギナーにとって敷居が低い存在と言えます。

 エンジンをスタートさせ、厚みのあるクッションで仕上げられたシートに跨がり、半日ほど過ごしてみると、ダックスの魅力をより深く理解できるのです。こんなバイクと一緒に過ごす秋の1日はきっと充実するはずです。

前後に太くボリューム感のある12インチタイヤと5スポークデザインのアルミキャストホイールの組み合わせは、個性的なスタイルを成立させる重要な要素のひとつ

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パワーが必要な状況ほど低回転から粘り強く回ってくれる空冷4ストローク単気筒エンジン。燃費もよく、今回の取材では51.3km/lを実現(満タン法)

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【写真】個性を感じるダックスのLEDヘッドライト
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