最近のレトロブームは4輪だけでなく、2輪でも同様で、過熱気味ともいえる状況だ。新車の供給不足も相まって古いモデルでも価格が上昇しているという。自動車ライターの佐藤篤司氏によるシリーズ「快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた」。今回は「ナナハン」のブームを生んだ「ホンダ・ドリームCB750FOUR(K4)」に乗車し、レポートする。
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「バイクが仕上がったので乗りに来ない?」という連絡が、学生時代の悪友から入りました。彼は超が付くほどのクルマ好きで、クルマもバイクも整備どころか、レストアまでこなします。そんな彼が、じっくりと修理をしたホンダのオートバイの74年式「ホンダ・ドリームCB750FOUR(K4)」を、走れる状態まで仕上げたから「乗りに来い」というわけです。
いまは、過熱ともいえるレトロブーム。そんなブームとは別に、すでに半世紀あまりも前のクルマを整備して乗るということは果たしてどんなことなのでしょうか?
4輪も2輪も旧車ブーム
先日、ある週刊誌からの依頼で最近、70年代から90年代の国産車や輸入車の中古車相場が値上がりしているという内容の取材をしました。コロナ禍やウクライナ情勢、そしてサプライチェーンの問題などで、というのも、いささか安直すぎて本意ではないのですが、新車の製造が滞っていることもあり、「ちょっと古いクルマが人気」という状況だというのです。「新車が買えないなら趣味のいい中古車を」という人たちからの注目度が上がり、この2~3年で価格が上昇中。コロナ禍の間に相場が50~100万円上がってしまった車種も、かなりあるようなのです。
販売価格も70年代からバブル期にかけてのスポーツカーや人気車種になると1000万円以上というクルマも多くあります。新車当時に不人気と言われていたクルマが300万円以上、名車の名をほしいままにしている人気スポーツカーともなると、億にも届こうかという勢いです。冷静に考えれば、すでに30年から50年も前のクルマは、見た目の個性はあっても、いま走らせるとなれば決して快適でもなく、トラブルや修理にかかる出費にも、それなりに覚悟が必要になるのです。もちろん、投機的な目的で簡単に手を出すのも、今後、新車が出回ってくれば、やはりリスキーということになります。
そうした現状のレポート取材を行ったところに、悪友からのお誘い。以前から彼がレストアを行っていることは知っていました。そして「完成したら一緒にツーリングに行こう」という、社交辞令レベルの約束はしていました。そんなところに届いた連絡には「もう出来たのか」というのが正直な気持ちです。それぐらいレストアとはじっくりと時間をかけなければいけないものです。