減らないはずの褒賞金が減ったワケ
月給も持ち給金も、基本的に活躍して番付を上げ、長く相撲を続けたほうが額は大きくなる。
今年の初場所で優勝同点となる13勝をあげて大関に昇進した琴櫻は、月給が180万円から250万円にアップ。持ち給金については関脇だった初場所が88.5円。11の勝ち越し(13勝2敗)で5.5円アップして94円になるところが、大関への昇進によって“最低保証額”となる100円に引き上げられた。場所ごとに40万円が支給されるかたちとなったのだ。
この持ち給金は「負け越しても減額されない」という特徴がある。それゆえ、大関を陥落後も高い褒賞金を受け取れる“元大関”たちが、平幕として長く現役を続けるケースも目立つようになった。
ただし、同じ元大関でも少し状況が違う例もある。それが朝乃山だ。かつて大関だった2021年5月場所では持ち給金が138円あったが、今年7月場所の時点で101.5円に減っている。どういうことなのか。相撲担当記者が言う。
「朝乃山は2021年5月場所で新型コロナウイルス対応ガイドライン違反により、6場所の出場停止処分を受け、三段目まで番付を落とした。三段目100枚目付け出しスタートの朝乃山はデビュー7場所で十両、10場所で幕内に昇進したスピード出世の力士で、そういう力士は十両や幕内に上がった際に、持ち給金が番付に応じた最低保証額(十両40円、幕内60円)までジャンプアップさせてもらえるのだが、十両や幕下に転落するとその分が消滅してしまう。
結果、三段目まで落ちた時点で持ち給金は70.5円に戻ってしまった。そこから勝ち越しなどで積み重ねて101.5円まで戻ってきたわけですが、7月場所4日目に左膝前十字靱帯断裂の大ケガを負ってしまった。今場所は十両で全休となり、来場所は幕下に転落する。復帰時には三段目まで転落するものとみられる。再び月給も褒賞金もゼロになってしまうわけです」
ここまで浮沈の激しい力士も例がないが、再びカムバックを果たせるだろうか。