これに慌てたのが農協だった。
「各農協もこれに対抗せざるを得ず、60kgあたり前年比プラス8000円の概算金を決断した農協もあった。結果、9月9日に出揃った主要産地の米の概算金は前年比2?4割増となり、小売価格を押し上げる結果となりました」(常本氏)
たとえば2024年産米の北海道産「ななつぼし」の概算金は、前年比4000円増の1万6500円、秋田県産の「あきたこまち」は同4700円増の1万6800円と、前例がないほどの上げ幅になっている。
常本氏によると、現在の高値は少なくとも新米がほぼ出揃う10月末ごろまで続くという。
「今後の米の収穫量次第で、ゆるやかに価格が落ち着いていく可能性はありますが、少なくとも2023年以前の水準まで価格が下がることは考えにくい。米の生産、流通コストが上がり続けているうえ、2024年産米については、すでに業者が高値で買い付けているからです。消費者にとっては厳しい状況ですが、米はパンや麺類など他の主食と比べても、価格上昇がかなり抑えられてきた。米の流通に携わる立場としては、ようやく需給に応じた『適正価格』に近づきつつあるという印象です」