Aさんのように、住み替えで後悔するのは珍しいケースではない。
「中高年が夫婦2人暮らしに適した家に移り住み、見知らぬ近所の人たちとコミュニケーションがうまく取れず、家から出なくなったという事例はよく聞きます。長期的に見ると、人付き合いが減ると認知症の発症リスクが上昇するというデータもあるそうです。また自宅で夫婦が四六時中、顔を合わせなくてはならないことで強いストレスを感じて、夫婦仲が悪化するケースもよくみられます」(横井氏)
住み替え前の準備が思い通りに進まないケースも多い。
「ずっと住んできた家にはモノが残り、ゴミ屋敷ならぬ“モノ屋敷”になっていることが多い。それらを1つ1つ吟味して断捨離するのは結構な重労働で、作業の最中に腰や膝などを痛めるケースがあります。モノを捨てるか、持ち続けるかで夫婦の意見が食い違って揉めたり、子供の持ち物を親が無断で捨ててしまったりしてトラブルになる事例も少なくありません」(横井氏)
※週刊ポスト2024年10月4日号