【不安2】半導体サイクルの先行指標、ISM製造業指数
ISM製造業指数の前年比は、半導体サイクルの先行指標としても知られています。ISM製造業指数と電子部品デバイスの出荷・在庫バランスはほぼ同調しており、ISM製造業指数は日本の半導体製造装置の出荷前年比に対して、約8~10か月先行します。
これは、半導体市場が世界同時的に動いているため、日本の指標も代表的な米国指標と連動するからです。
米国株同様かそれ以上に、日本の主要な半導体企業の株価は、8月5日の暴落以降、日経平均株価を大きくアンダーパフォームしています。
このISM製造業景況指数は2024年に入ってからは、9回の発表がありましたが、このうち拡大縮小の目安である50を超えたのは、3月のわずか1回のみ。
こういったことからも、出遅れている半導体株が与える景気全体への警戒を解くには少し早いように思えるのです。
今後の確認すべきポイントを整理
ここまでは、FOMCの大幅利下げにより、米景気が楽観視され、主要株価指数が最高値を更新している中で、半導体株の戻りが鈍いことを指摘しました。
その中心にいるのが「エヌビディア」であり、SOX指数同様、9月20日の終値時点で年初来高値から▲17.58%とSOX指数を下回るパフォーマンスを見せています。また、最後に高値をつけたのは6月20日で、SOX指数よりも約1か月前です。
これから考えると、SOX指数はエヌビディアの影響を最も強く受けており、エヌビディアがSOX指数に先行して動いている可能性も考えられます。
そこで重要なのは、エヌビディアの株価が上昇トレンドに復帰するかどうかです。これを確認するために注目すべきポイントは以下の通りです。
・毎月発表されるISM製造業景況指数(毎月第1営業日)
・11月5日に投開票される米大統領選挙
・11月中旬予定のエヌビディアの次回決算発表(2024年8~10月期)
これらのイベントに注目しながら、半導体株の出遅れ懸念が解消されるかを見極める必要があるでしょう。
史上最高値を超え、楽観的なニュースが目立つ中でも、視野を広く持ち、常にリスク管理の視点を忘れずにいることが、今後の株式相場の重要なポイントになるかもしれませんね。
【プロフィール】
森口亮(もりぐち・まこと)/個人投資家、投資系YouTuber。1983年、埼玉県生まれ。元美容師。「Excelで決算数値を管理して、有望な成長株を中・長期的に狙う」という手法で資産を10倍に。その後も着実に資産を増やしている。著書に『1日5分の分析から月13万円を稼ぐExcel株投資』(KADOKAWA)がある。YouTube「毎日チャート分析ちゃんねる」やnote(https://note.com/morip)を日々更新中。