自民党の石破茂・新総裁のもとで解散総選挙へ向けての動きが加速している。裏金問題をはじめとする「政治とカネ」のスキャンダルで自民党の政党支持率もかつてない急落を見せたが、「政権交代」となると、簡単には実現しないようだ。自民党は、公明党の支持母体で絶大な集票力を持つ創価学会と長きにわたり、協力関係を築いているからだ。実は「自民党と創価学会」の関係は、公明党が結党される以前からのものだった。だからこそ、選挙では多くの票を集めることができるのだという。
その秘史を、菅義偉内閣の首相補佐官を務めた経歴を持ち、最新刊『権力の核心「自民と創価」交渉秘録』が話題の帝京大学教授の柿崎明二氏が明かす(以下、同書より抜粋・再構成)。
* * *
今、自民党と公明党の関係を語る時、最も言及されるのは「連立政権」である。まず、その政権である期間が長い。1999年10月5日に発足して、2024年秋時点で25年たつが、野党時代を除く約22年間は連立政権の期間である。しかし、自公が連立政権に至るまでは与野党として対峙した35年間という前史があり、自民党と、公明党の支持母体である創価学会の関係でみると前史は41年になる。自公に先駆けた自創の関係がどのようにして始まり、発展していったのか。
連立政権樹立から20年という節目を迎えた2019年、新聞、テレビをはじめメディアが大きく取り上げ、各方面から肯定、否定含めて多くのコメントが相次いだため、「自公は連立政権」という認識が固まった。当時の安倍晋三首相が自公関係を「ビューティフル・ハーモニー」と表現した。
ただ、「自公はどういう関係か」という認識は年代で違う。日本政治を同時代的に見聞きしたのが2012年以降である若い世代の場合、「連立政権」という見方は極めて自然だろう。
一方、1993年、自民党が初めて下野し、非自民の細川連立政権入りした公明党と激しく対立し合った時期を目撃した、上の世代からすれば「連立関係にあるが、激しい攻防の末だった」という若干、複雑なものになる。