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ライフ

《選択的夫婦別姓議論》「旧姓を使用できる範囲を拡大すればいい」で不便は解消されない 「旧姓使用を認めない職場は半数以上」の現実、国際社会でも通用せず

 前出の秋月さんは国連の女子差別撤廃委員会に旧姓の「秋月」で立候補した。しかし当選後、旧姓が使えないことを知る。

「国連では戸籍名しか使えなかったんです。それまでに40年近くキャリアを積み上げて、『秋月弘子』として論文や書籍を出版してきたその成果が認められて委員になれたわけですから、旧姓で会議に出席する以外の選択肢は私にはなかった。そのためにどうするべきか、夫や娘と話し合い、一時は旧姓を使用したいがために離婚も覚悟しました。

 結局、外務省が掛け合ってくれて、名札と名刺だけは旧姓使用が認められました。

 ただ、国連事務局が手配する航空券や宿泊先は夫の姓で予約されるので周囲は混乱します。スイスの会議に出席したとき、私の宿泊先を訪れた委員がフロントで私を呼んだところ、『“秋月弘子”は宿泊していない』といわれてしまったこともありました」

 こうしたビジネスの現場での弊害が多く出ていることから、経団連は今年6月、選択的夫婦別姓の早期実現を求める政策提言を発表した。経団連がこの問題で政策提言を発表するのは初のことだ。

後編に続く

※女性セブン2024年10月10日号

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